うに丼の価格は高いとおいしい。安いからおいしくない。
こんな単純ではないのです。
需要が伸びて、供給が追い付かない時に、高くなります。
逆に、うに大漁が3日ほど続くと安くなる傾向にあります。
当店で毎日うに丼の価格を変更してご提供するのは
毎日仕入れ価格も変わるからなのです。

2016年度の当店のうに丼の価格は、
2400円に始まり4200円という日もありました。まったく同じうに丼です。

ちょっと、実際にあった当店のお話をしますね。
8月8日うに仲買人から電話がありました。
「お盆営業どうする?何個うに届ける?」
「300個」と私。
後日、300個納品されましたが、8月9・10・11日で200個以上提供し、残りは100個。
お盆営業分のうにが足りないので追加200個と電話しました。
その時に、仲買人は
「200個でたりないしょ?お盆中は雨だ!台風だ!うに漁ができないから、今のうち仕入しておいたほうがいいよ!」ってアドバイス。アドバイスに乗りました。200個+αです。
そのうにの価格が、1個、2700円(税別)。
おきまりのセリフで「高いな~~」って私。
7月末は1600円で仕入れできていたんですから。

さて、お盆になりました。
天候が回復したのです。
「すまない。高いうに、売ってしまったな~~」って仲買人からの電話。
しょうがないですね。あとのまつりです。
「うちに高いうに売って、ほかの店には今日の値段のうにでしょ?」って、大人げない私です。
この高値仕入れのうにを300人分、3700円で提供しましたよ。
飛ぶようには売れませんでした。
3700円だなんて、他店では2800~3200円で提供してたのですから。
本当に、お盆期間中に雨でうに漁が行われなければ、この段階でいい仕入れができたと喜べたのですが
実際は失敗に終わったお盆営業。

ご予約をいただき、ご来店され、価格を見てビックリされるお客様もおります。
今年も、「オススメセット」「サービス丼」「選べる海鮮丼」など
リーズナブルな献立もご用意して夏を乗り切りました。
うに丼なんてのは料理ではありません。
おいしいうにを、適温のご飯に乗せるだけなのですから。
それゆえに、仕入れが大事。

私、完璧な仕事をしたとは口が裂けても言えません。
「仕入れした食材はちゃんと使うのが料理人」と都合のいい言い訳ばかりです。
「ちょっとご飯が硬いかな?」「少し味が薄い酢飯かな?」と思っても使いました。
「今日のうにより、昨日のうにのほうが綺麗だし、甘いね」と思っても気にしないで提供しました。
お許しくださいね。

お盆最中のうにの卸値価格は2300円ほどと聞いています。
この頃、当店の冷蔵庫にあるうには2700円。
私どものようなお店にとってはこの400円はとっても大きい。

もし、アドバイスに乗らなければ、400円x200個=80000円の出費を抑えられたのです。
80000円違うと、ひと月のパートさんの給料に相当します。
モスチーズバーガーなら200人前。
エッグバーグディッシュなら100人前以上。
97円くるくる寿司なら824貫。
どこかのスナックなら10回はいけます。そんなにいけないけど。
失礼しました。

10月です。
9、10月がもっとも厄介な季節なんです、私にとって。

味と価格について質問が多く、私なりに回答したつもりです。

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