旅行者数。
噂では 積丹町全体的に例年を下回ったらしい。
夏=積丹町=うに
今年のうに、当店の都合に合わなかった。
そうは問屋が卸さないである。
今年のうにがどうしてダメだったのか、玄人的なお話をさせていただきます。
まずは味についてです。
もっと手ごたえある美味しさが積丹町のうにだと思ってますが
海が変化したのか 海藻が減ったのか なんとなくあっさりとした印象でした。
私たち飲食店は毎日ウニの味見をします。
先週のうにより今日の方が美味しい。
A地区のうによりB地区の方が断然良い。
こんな事良くあるんです。なかなかお客様には伝わらないと思いますが。
「良い地区のうにだけを納品してください」とはあいなりません。
また、仕入れしたものはすべて現金化する必要があります。
それは妥協という考え方も間違いではありませんが
何より食材を無駄なく使うというのが私が考える最も大事な事なのです。
及第点 ぎりぎりのうにをたくさんご提供した年でもあります。
味以外に大事な要素として消費期限の問題。これが一番大事かもしれません。
通常、表記された期限日前に腐敗する事はまずないと言っていいのです。
もしあったとしても 仕入れた飲食店でちゃんと適切に管理、洗浄すればいい事。
長年の感で見たらわかるのですが、
今年は暑かったせいか期限日前にだらけてしまう個体も少なくなかったのです。
この点から 今年のうには良くなかったという言葉でまとめてしまいました。
そして 価格です。
私個人の感覚としては最悪だった昨年以上に悪い2023年でした。
うに、欲しい時に仕入れできないのです。
当店 土日のみの営業でウニの仕入れの理想は木曜日です。
ですが毎日天候を確認し、どう予想するかも大事な事なのです。
毎朝 ウニ仕入れの方々から電話連絡が入ります。
「水木金土と雨と風。週末のうには納品できないかも」と連絡が来れば私も焦ります。
週末に予約分で50食ほどどうしてもうにが必要だから。
「それじゃあ 今日、月曜日に少し高くてもいいから納品しておいてください」となる。
予約が無ければこんな風に月曜から買い付けの指示をする必要もないのですが…。
無理をすれば高値となってしまいますね。
先日2200円の仕入れ価格だったものが今日は3800円で納品。
これがごく普通なのです。
販売価格もその分値上げとなります。
こんなに仕入れ価格に差があるのもウニの特徴ですね。
特に塩水ばふんうには、はなはだしいのです。
6000円ぐらいの塩水ばふんうに30人前欲しいとセリ人に伝えると
「先日は 8500円~12000円でセリ値が付いたから 6000円は無理だわ!」と返答。
運良く8500円で納品された塩水ばふんうには、一膳は15500円のうに丼となりました。
普通の感覚だと高いと感じてあたりまえ。
それでもご要望があれば仕入れしなくてはいけなくて、
「7個しかない」「今日は11個だけ」と納品数も希望する数がそろわない時も多かったのです。
私の地区では7/23に船が出たのを最後に、8/9まで天候不良でウニ漁中止となりました。
16日間もウニの水揚げが無かったのです。
これは私の村だけの問題にとどまらず、積丹町全体での絶対数が下がるために、他の海域のうにも値上がりです。
そしてこんな電話です。
「お盆期間は 漁師もお盆休み。天候も良くないから今日と明日の一発勝負だ」と。
皆さん仕入れに血眼になる。
3800円では無理だと判断し4200円でお願いしたのだが納品されたのはわずか90人前。
五分の一 しか納品されなかった。
お盆期間中のうに丼の提供をあきらめた。書き入れ時なのに。
そして8/20~25まで天候が良く船が出た。
お盆明けは誰もウニを欲しない。
実に4000円以上していたうには 1400円ぐらいにまで価格が下落。
これに目を付けたのが本州送りの会社だとのうわさがある。
私はこのタイミングで 蒸しウニ 塩うにを作り、札幌店ではうに丼の驚安販売をした(笑)
8/26~30まで船は出られず、禁漁前の8/31 最終日に船が出た。最後の仕入れにみんな血眼。
最終日のうには今年1番の高値となった。
うに、その他の支払いもすべて終えた。
2023年度の夏はようやく終わった。長かったです。疲れた。
六花亭の栗きんとんが待ち遠しい。