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夏のお昼過ぎ、田舎の外で仕事をしていた時
電話が入りました。
「●● テレビです、少しお伺いしたいのですがいいですか?。
今年のうには 高いと言われてるけど本当でしょうか?」という質問でした。

消費者の目線でうに丼が高いのか、私どものようなうにを扱う飲食店での仕入れ価格が高いのか
簡単に回答できない質問に少し戸惑いました。
「安くはないですよ」 と、私。

こんな事言うとヒンシュクを買うような気がしますがお許しを。

当店ではご予約いただいたお客様にはその期待にそえるよう
うにの仕入れを確実に行っています。その確実のために、
「◎◎水産さん!明日予約で100人のうにが必要ですから120人前ぐらい納品してね」と。
いつでも簡単に仕入れができるわけがありません。
うにの仕入れ価格は相場で大きく変動します。
分かりやすい数字でご説明しますと、
昨日5000人分のうにが取れました。1人前2000円で仕入れできました。
今日は2500人分のうにしか取れませんでした。1人前4000円の仕入れとなります。
これが相場の基本です。実際にはそんな高価にはならない事を付け加えます。

一般的に、ごく一般的にですよ、仕入れ価格の3倍で販売しないと経営が難しくなるというのです。
100円の豆腐は300円の冷ややっこでもいいのですが
6000円のうには18000円では販売はできません。
売れる気がしません、この価格ですと。

うに仕入れのカラクリですが
漁師がとったうにに価格をはじめにつけるのは、仲買人です。
良いものは2500円 普通のは2000円 あまりよくないのは1500円とセリ値を付けます。
しかしここで問題があります。
飲食店からこんな注文が仲買人に入ります。
「明日、500人のうにが必要だから、良いもの確実に仕入れ頼むね!」と。
加えて「お客様には無かったで済まないから頼むよ、良いやつ」と。
こうなると 2500円で他の誰かに取られてしまわないように
良いうにに2850円と値段をつけ、その仲買人が根こそぎ購入したとします。
2850円のうには 私どものような飲食店には2950円で納品されるのです。
飲食店から「明日、500人のうにが必要だから、良いもの確実に仕入れ頼むね!」という
注文がなかったとしたら、このうにはきっと2500円だと思うのです。

そして翌日。
昨日は2500円のうにが2850円の価格が着いたので、今日もそのぐらいはすると予想をたてます。
その良いうにがどうしても欲しい仲買人は、昨日より250円高い価格で買おうとします。
すると3100円。
これが、3、4日続くとだんだんと高いうにになってしますのです。

そして私どものような飲食店では2850円のうには3850円~5700円ぐらいの価格を付けて、うに丼販売となるのです。

従業員も雇わず、借金もなければ 2850円のうにを3350円で販売してもいいのかもしれませんが
たいていのお店は、スタッフも多いでしょうし、借金もあるでしょ。
これが仕入れ価格x3倍という数字につながるのだと思っています。
これが「今年のうには 高い」と言われてる原因の一つだと思っています。
2021年度、コロナ禍でもドライブ&うに丼のお客様がとても多かったのです。

30年前は 「2500円の良いうに」は750円~950円でした。
加えて近年は「ばふんうに」が人気で
飲食店での販売価格はおおむね7500円~15500円ぐらいです。
うに丼を食べようと入ってお店の価格が 12000円 とあれば
通常の感覚であれば「高い」と感じるはずです。
この飲食店サイドの価格の付け方に「ぼったくり」との下品なお言葉も耳にしています。
7500円のうにを12000円でご提供しても「ぼったくり」にはならないと思っているのですが
聞き捨てならぬ言葉に労働意欲もうせてしまいます。
仕入れしたすべてのうにが現金化できるわけではありません。
生ものです。だめだと思ったうにはうに丼にはできない事もあるのです。

今はすでに秋。
季節が過ぎた今、私の本音とうにの事情をUPしました。
現在、訳け有って札幌店でのうに丼は予約制にしています。
突然いらしてもうにはご提供できません。ご用意していないのです。
前々よりご予約いただいたお客様にご提供したうに丼は9800円となりました。
正直、不本意です。
”今食べなくていいから、良い時にうにをおくってあげましょうかキャンペーン” を
考えています。

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