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いくら。美味しくないのと美味しいの。

「いくらどんは、プチプチッとした口の中ではじける食感がないと新鮮じゃないよね」
「プチプチして美味しい~~」

この様に表現されているのを時々見ますが実にがっかりです。

いくら生産者(加工業者)も私たち料理人もプチプチとしたいくらにならないよう気を付けて加工しているのに。
個人が「ぷちぷちしてる~~」と言うのならまだしも、文字を書く仕事の立場である人であれば、もっと上手な表現がある。
いじわるな言い方をすれば、「表現が思いつかないのなら書くな」と言いたい。
はい、言いすぎな私です。
ですが、本当に思ってる事なのです。

「やっぱりいくらは、プチプチッとした口の中ではじける食感がないと新鮮じゃないよね、お兄さん!!」と言われ、がっかりしたという加工業者さんのホームページを発見しました。
私と同じ様に感じていた事に少しうれしさを覚えました。
以前、お取り寄せのお客様にお伝えした事があるのですが
本場と言える北海道においても、いくらは北海道産に出会えることは多くはありません。
その原料は、アメリカ、ロシアが多いのです。
例えば「◎◎北海道味覚祭り」などと耳にするイベントも
もしかしたら北海道産の物ではないのでは?と考える性格の悪い私です。
深くは掘り下げません(笑)

数年前にいらしたお客様が又ご来店されました。
以前、当店で食べたいくらうに丼をとても気に入ってくださったと知りました。
少し変な日本語です。
来週もいくら丼をお目当てにご予約をいただいたのです。
うれしく感じます。と共に不安もあるのです。

時々外食して、これと言って食べたいものが見つからない時、いくらを使った献立から選びます。
これは興味から来る選択。
スケベ心なのです。どんないくらを使ってるのかな?って。
9割以上は私の好みではないいくらに出会います。
決してそのお店を見下しているわけではなく、そのお店の事情をあれこれ考えてしまうのです。
特特特級品を使えない事情。いたし方ない事情はどこにでもあります。

幼少期の記憶が私の感覚の基本です。
田舎で食べたいくらはほんの少しの日本酒と醤油のみ。
それが基本だと考えるのです。
ご覧ください。

加工業者のご苦労もわかるのですが、こんなにも様々な調味料が使われています。
「あれ?このいくら50点」そう私が感じるのは副原料の使い過ぎ、ここに原因があるのだと思ってます。

2019年度は鮭が不漁でいくらも然りです。
少し手ほぐしでいくら醤油漬けを作りましたが、すでに在庫はありません。
今は何社も味見をして及第点の付けられるいくらを仕入しています。
とは言っても低いレベルに設定した及第点と言わざるを得ません。
そのぐらい品薄なのです。

先々週も違うメーカーの物を仕入れ、試食しました。
まあ、及第点付けました。
最近は、鮭の卵でなく、鱒の卵を多く見かけますね。
これはこれで美味しいのです。

私の経験で理解できないいくらは調味料にごま油を使用していたもの。
ちょっとミスマッチとは言えないレベルの違和感でした。
そして、ここ数年で一番美味しいと思えたいくらは
「海鮮食堂 北のグルメ亭」さんのいくら醤油漬け。
味付け、塩分。そして卵の柔らかさ、皮の残らない舌ざわり。素晴らしいものでした。
そこは札幌中央卸市売り市場にあり、宣伝広告などもよく見かけます。
新千歳空港から札幌方面に向かう途中にもものすごい大きな看板があります。
興味を持たれた方、一度お試しあれ!

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